歯科治療はMI治療が主流に

ひと昔前は、虫歯は削って治療するのが一般的でした
あのキュイーンという歯を削る音で歯医者ギライになったという話はよく聞きます
しかしいまはMI治療T主一マル・インターベンション)というコンセプトが主流です
MI治療とは、直訳すれば〃最小限の侵襲〃、つまり歯を削る量を最小限にして今の歯をできるだけ残し、歯の寿命を伸ばそうという治療概念です
最近の歯科修復技術と素材の進歩によって、耐久性にも優れ、審美的にも美しい修復が可能になりました
そういった新しい治療法の中から、注目されているものを以下で解説していきます
ご自分の目的に合った方法を、歯科医師に治療相談する際の参考にしてください
再石灰化療法私のクリニックでは積極的に行っている方法です
穴があいていない初期虫歯でしたら、削る、穴を埋めるなどの虫歯治療をせずに、歯を修復できます
仮に穴があいていても、再石灰化療法を行うことで歯質が硬くなるため、削る量を少なくすることも可能です
治療に先立ちレントゲンや「ダイアグノデント」(カボ社)と呼ばれるレーザー光の反射を利用した虫歯診断器で、虫歯の進行程度を検査します
家庭で行うホームケアと歯科医院で行うプロフェッショナルケアを組み合わせて行います
家庭では、①l日2回フッ素入り歯磨き剤で磨く
②歯磨き後、フッ素ジェルを塗布
虫歯部分には念入りに塗布
③アメ、乳酸ヌガー、乳酸飲料は禁止
他の甘いものはデザートとして食後すぐに食べるのはOK
甘い飲み物は極力避けるが、どうしても飲みたいときは食事中に飲む
キシリトールを1日5グラム以止摂取
以上がホームケアです
歯科医院では、①高濃度の局所フッ素剤を虫歯部分にのみ塗布
②レーザーを虫歯部分に照射後、一局濃度の局所フッ素剤を塗布
PMTCを行う
以上を3ヵ月を1クールとして行い、効果があったかどうか再度「ダイアグノデント」で虫歯の進行程度を測定します
数字が小さくなっていれば、再石灰化治療の効果がでていると判断し、問題なければそれで終了
穴があいている場合は、MI治療にて最小限に詰め物をして終了します
再石灰化療法を続ける場合は、同じことを3ヵ月繰り返し、検査診断治療方針決定、という流れになります
再石灰化療法は保険はきかず、すべて自費になります
レーザー治療 歯科用レーザーには、炭酸ガスレーザー、半導体レーザー、ネオジムヤグ・レーザーやエルビウムヤグ・レーザーなどのヤグレーザーがあります
それぞれ用途が異なり、炭酸ガスレーザーのように歯ぐきを切開したり殺菌、止血するもの、ヤグレーザーのように歯など硬い組織と歯ぐきなど軟組織の治療に向くもの、半導体レーザーのように血流をよくするものなどがあります
ちなみに前述の再石灰化治療に当院では、ネオジムヤグ・レーザーを使用しています
ダイレクトボンデイング審美歯科治療のひとつで、「光重合型超硬質レジン」を歯に直接充填していく方法です
従来のさし歯より歯を削る量が少ないこと、治療が1日で終わること、天然の歯のような美しい仕上がりが得られることから、MI治療にとって欠かせない治療法となりました
歯は本来、光の反射率が低く透明性のあるエナメル質、光の反射率が高く光を通さない象牙質、その真ん中に歯髄という神経の三層構造になっています
そのため天然の歯では、先端だけがちょっと透明で歯の真ん中くらいから白く見える立体的な色味なのです
この治療法では、解剖学に基づいて透明度の異なる材質を、地層のように何層にも重ねて埋めていくことで、天然歯のような自然な色調と透明感が再現できるのです
しかも、その色のグラデーションは何十種類とあり、患者本人の歯と極めて近い色を作り出せ、とても自然な仕上がりです
マイクロスコープ(実体顕微鏡)マイクロスコープは、2~30倍以上にも拡大できる実体顕微鏡です
脳神経外科や心臓の手術に使われているのと同じ精度のマイクロスコープで、歯科治療を行っている歯科医もいます
マイクロスコープを使って行う歯の神経治療や手術では、従来の裸眼による治療とは一線を画した精度の高い処置を行うことができます
使用する器具も、それに見合った極薄のメス、極細の針や糸で手術を行うため、傷の治りも早く、痛みも少なくてすんでいます
見えない世界をはっきり見せてくれるマイクロスコープによる歯科治療は、歯を抜かない、歯を残す治療の立役者の一つといえます
ここにご紹介した治療のほとんどは、健康保険がききませんので、治療を始める前に十分な説明を受けて納得したうえで施術を受けてください