ストレスが原因で歯が痛くなる


先の姿勢のゆがみなどから来る歯の痛みとはまた別に、少し以前から、歯科医の間で話題になっている症状があります
患者さんは歯の痛みを訴えるのですが、視診や触診、レントゲンなどの検査を繰り返しても虫歯や顎関節症などの異常は見つかりません
治療、抜歯、手術を繰り返しても痛みは改善されず、痛むところに麻酔をしたり、鎮痛剤を処方しても痛みが消えないのも特徴のある症状です
噛み合わせの不具合ではないかと訴える患者さんもいます
噛み合わせ治療を行うと、患者さんは「治りました」と満足して帰って行かれるのですが、しばらくすると、また痛み出したと再来院されます
痛む、治まるの波が何度も繰り返され、それは長期にわたります
このような、原因不明の口腔や顔面部の痛みの場合は、「非歯原性歯痛(歯が原因ではない歯痛との可能性があります
非歯原性歯痛は何種類かに分類されますが、代表的なものが「特発性歯痛(非定型歯痛とです
特発性とは医学用語で「原因不明」という意味です

患者の9割が女性

何かストレスフルな状況に置かれたのをきっかけに、突然、歯や顔面にジンジンじわじわする耐え難いほどの痛みが出るようです
特徴的なのは、痛みがあちこち動くことです
右の歯が痛いと言っていたのに、いつの間にか左側が痛くなったりします
しかも生きている歯だけでなく、すでに神経を取って死んでいる歯も痛むことがあるのです
歯には原因がないにもかかわらず、患者さんは痛いと訴えるので、歯科医師はごくごく小さな国内トラブルを探し出し、不要な治療や抜歯をしてしまうことがあります
歯髄炎や顔の神経痛である三叉神経痛、また感染症である骨髄炎に誤診されることも多く、やっかいです
痛みが治らない患者さんは病院を転々とし、さらに不要な治療を受け続けるケースもあります
「非定型歯痛」のはっきりとした原因はわかっていませんが、脳のセロトニンノルアドレナリンなどの神経伝達物質が関わっているのではないかと言われています
セロトニンノルアドレナリンが不足すると痛みの調整がうまくできず、ささいな刺激にも過敏になります
「非定型歯痛」の治療法はわかっていて、三環系抗うつ剤を適切に処方してもらうと楽になります
しかし、歯科医師抗うつ剤を処方できないので、精神科などと連携して処方してもらうことになりますが、 一般的なうつ病の治療とは違いますので、精神科医にとっては痛みを取るための適正量を判断するのが難しいところです
神経伝達物質不足以外の「非定型歯痛」の原因として、群発頭痛があげられます
群発頭痛の患者は普段はまったく異常はないのですが、1~2年ごとに「群発期」が巡ってきて、lヵ月ほど日から上あごにかけての、各1時間ほど続く激痛発作が連日起こります
急性の蓄膿症(上顎洞炎)、あごやほおの筋肉の痛みが歯痛のように感じられる筋筋膜痛、顔の帯状疱疹なども歯痛と結びつきます
神経内科など他の診療科につなげられるかもポイントです
難治歯の治療を繰り返しても痛みが治まらないのに「原因不明」と言われてしまう場合、オロフェイシャルペインの専門医を受診されることをおすすめします