「インプラントは怖い」の誤解


噛めない、噛まないことが、健康に悪い影響があることはすでにお話ししましたが、それでも「歯が1本くらい抜けてもどうってことない」とか「まだ何とか噛めるうちは平気だ
何本も抜けたら歯医者に行こう」などと甘く見ていませんか
歯は歯列というまとまりで、バランスよくものを噛み砕くという仕事をしています
1本でも抜けたらその開いたスペースを埋めようと隣り合った歯が傾いてきます
歯は垂直の力には強い構造なのですが、傾斜した歯は噛むときに横からの力を受けるので負担が大きくなり、周辺の歯にも影響してきます
また、斜めになった歯の陰の側は歯ブラシが届きにくく、周辺の歯を合め、虫歯や歯周病のリスクが高くなります
歯が抜けると噛むことに支障が出るだけでなく、噸下や発音にも不都合が出ます
歯並びや噛み合わせも変わつてくる可能性があります
前歯であれば見た目にも影響しますから、人前で大口を開けて笑えなくなり話をするときもつい口元に手を当てるようになってしまぃ……
1本抜けただけでも、くさんの問題が出てくるのです
ですから、歯は抜けたまま放っておかないことが大切です
歯を取り戻す方法のうち、注目が集まっているものにインプラントがあります
インプラントは、歯が抜けた後の骨の中に、チタン製の人工「歯根」を埋め込み、その上に人工の歯を被せて再び噛めるようにする治療法です
入れ歯のように取り外す必要もなく、ブリッジのように両どなりの歯を削る必要もない反面、「手術を伴い高額でぁる(1本あたり40万円程度ご「失敗例を耳にする」などなかなか踏み切れない人が多いのも事実です
だからといってィンプラントをただ恐れているのも、大きな誤解です
日本歯科大学附属病院インプラント診療センター教授の高森等先生は、「うまくぃかな いのは、診査
診断が不十分なまま治療を行うからでしょう
正しく治療すれば成功率は上あごで90%、下あごで96%程度になりますよ」といいます
上あごのほうが骨は軟らかく、上顎洞、鼻腔といった空洞部分があるためインプラントを埋める骨の量が少ないことが多く、いっぽう下あごは骨が緻密で、骨の量が十分にあることから下あごのインプラントのほうが、上あごより成功率が高くなっているのだそうです
私がもし連続した歯2本以上の遊離端欠損(後側の歯が1本も残っていないこと)の治療をうけるのなら、下の歯で適応(手術や治療が可能なこと)であれば間違いなくインプラントを選びます
下あごの土手の部分は馬蹄型になっているため入れ歯の安定性がよくないのですが、上あごはあご全体で入れ歯を支えるため比較的安定するからです.インプラントの人工歯根を骨に埋め込む手術は前歯にも奥歯にもできますが、土台となる骨が、幅
高さともしっかり残っていることが前提です
重篤な全身疾患がある人や歯磨きなどのホームケアができない人にはおすすめできませんが、骨の量が少なくても、骨造成術などで骨を作ることができれば適応となりますので、あきらめずに専門医に相談してみてください
骨造成術には、おとがいなど下あごなどから自分の骨を採取して移植する「骨移植術」や「骨再生術」などがあります
インプラント治療は、生涯にわたり掃除などメンテナンスが必要な治療です
長くお付き合いのできる信頼できる歯科医を選んでください
費用ですが目安としては、インプラントは1本45万、2本以上だと少し下がって1本当たり40万円くらいです
インプラントは正しく行えば一生モノ
怖いという誤解を鵜呑みにしているのは損です