唾液や歯肉の質を高める食事

「歯にはカルシウムがいい」と、ふた言目には言われていた時代がありました
骨を作るという意味では、カルシウムは基本中の基本
それは間違いではありませんが、最近はさらに進歩してコラーゲンの大切さが広く認知され始めています
特に歯肉炎や歯周病の兆候が見られる患者さんには、ヨフーゲンの生成を促すような生活指導をしています
何と言っても歯周病予防の要は歯根膜
ヨフーゲンは歯根膜を丈夫にするのと同時に、肌にもいい効果をもたらすので、女性には二重にうれしい予防法ですね
コラーゲンは、食べればそのまま体内のコラーゲンになるわけではなく、アミノ酸やペプチドに分解されて小腸の粘膜で吸収されます
それが毛細血管を通り、肝臓、さらには心臓に送り返されます
そこから真皮や粘膜、朝帯、腱、骨などに適宜分配されて、ヨフーゲン繊維を作るのですが、そのコラーゲン生成の能力は加齢とともに衰えていきます
その生成には原料が必要で、原料とは良質なタンパク質=アミノ酸です
ほとんどの動物性食品にはアミノ酸が含まれますが、特に多く合んでいる食品として、鶏の手羽先やすっぼん、フカヒレなどがあります
ヨフーゲンの生成には多くのビタミンやミネラルが必要なので、良質なタンパク質に加え、バランスのいい食事をすることが望ましいです
これは私自身も実感していることです
わたくしごとで恐縮ですが、2005年のお正月明けにあまりの疲労感で立ち上がれず、検査人院をしたことがあります
結果は、過労とストレスでした
その頃、はじめて奥歯がぐらぐらするのを感じ、骨殖堅固(歯がしっかりしていることをさす歯科用語)が自慢だった私は、歯が抜けてしまう夢を見るほどショックを受けました
ところが、食生活を変えたら歯根膜が復活してすっかり奥歯の動揺がとまってしまったのです
当時の血液検査の結果は、タンパク質不足
自分としては充分に摂っていたつもりでしたが、今にして思えばその頃の私の食生活は、明らかにタン 出パク質不足でした
もともとは野菜中心、母からの教育で肉より野菜が身体によいと思っていた私は、ほとんど夜しか肉や魚を口にすることがありませんでした
好きなモノは果物と野菜とスイーツでしたから、朝ごはんの定番は甘いデニッシュパン
学会などに出席するための海外出張先のホテルでは、朝食で出されるベーコンやハムなどには目もくれず、フレッシュフルーツ、ヨーグルト、おいしいデニッシュやクレープのワゴンにばかり近づいていたのです
体調が戻ってからはその食生活を変え、必ず朝食にも、これまで食べたことのないベーコンエッグなど、タンパク質を食べるようにしました
昼食、夕食にも意識的に肉や魚を食べるコラーゲンサポートを始めたところ、先のような歯の不調も改善しました
「歯にはコラーゲン」が新しい常識になっていくでしょう
一方、唾液は分泌量だけでなく、質も大切です
回の中で虫歯菌やバクテリアなどが繁殖した状態では唾液はネバネバしています
肉や魚、穀物、砂糖など現代人が食べる食品の多くは酸性食品で、日の中のpHも酸性に傾きがち
水分の多いサラサラの唾液にするには、食事のときに野菜や海草などのアルカリ性食品もバランスよく食べることです
また、小魚やチーズ、牛乳、ひじきなどは歯の再石灰化を助けるカルシウムが豊富です
噛む回数を増やして唾液の分泌を活性化するには、りんごなどは皮付きのままいただく、自米や自パンではなく玄米や雑穀米、胚芽パンなど噛みごたえのあるものを選ぶなどがポイントになります
また、キウイフルーツには舌苔を溶かす酵素が含まれています
ゆっくり噛んで飲み込むと舌苔の掃除ができ、口臭予防になります