受け口は遺伝する

ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、ヨーロッパの名門ハプスブルク家は、受け回の家系として知られています
上あごの骨より、下あごの骨の発育が過剰、あるいは過成長すると受け口になってしまいます
肖像画を見ると確かに、カール5世やフェリペ4世などは、この特徴が際立っています
受け口を専門用語では下顎前突や反対咬合といいますが、骨格性の受け回の多くはこうした遺伝によって起こります
ほかに骨格異常がもたらす成長期の骨の発達が原因となる場合もあり注意が必要です
骨格異常による受け回は、次のように形成されます
手足や身長を伸ばす長骨(長管骨)という骨があるのですが、代表的なのは上腕骨や大腿骨です
この長細く伸びた骨の幹の部分を「骨幹」、両端のややふくらんだ部分を「骨端」と呼び、骨幹と骨端の間の軟骨が伸びて、成長するのです
この長骨と下あごを成長させる骨は同じ種類の発育をたどります
長骨は骨の両側の細胞が増殖し、伸びていきます
あごの場合は、Uの字型のままサイズが大きくなっていくわけで、身長が伸びる成長期に進行します
背が10m伸びると下あごが6皿伸びると言われていて、女子に比べ背が高くなる男子のほうが深刻になりやすいのが特徴です
というのも、女子の身長は15~‐6歳で伸び止まることが多いので矯正治療も、その時期で終了にできます
ところが男子の場合は、22歳くらいまで身長が伸びるので、中学生くらいで、いちどきれいに改善しても、大学生くらいでさらに下あごが発達してしまう可能性があります
こうなると下あごの骨を削る外科治療が必要になることもあるからです

 

キシリトールが効く理由

なぜ、母親がキシリトールを摂取すると、子どものミュータンス菌の感染率が下がるのでしょうか。
これは、妊娠中から生後9ヵ月になるまでに母親が摂ったキシリトールの効果で、母親の口の中のミュータンス菌が「不溶性グルカン」を産生しなくなり、プラークが歯からはがれやすくなったためと推察されます。不溶性グルカンは、ミュータンス菌が糖をエサにしてつくる不溶性のネバネバ物質のことです。
その結果、子どもの日の中にミュータンス菌が感染しても定着しにくいという現象を導いたといえます。大人の場合も同様で、キシリトールにより不溶性のネバネバ物質をサラサラなタイプに変えるので、口の中にミュータンス菌が定着しにくくなります。
ミュータンス菌は産道感染や空気感染はしませんので、生まれてきた子どもに早期にうつさないためには、母親の国内環境が重要です。この時期に育児に関わっているのは、世界的にみても母親が多いため、父親や祖父母より、やはり母親の影響が大なのです。
生まれてくる赤ちゃんの歯の健康のためにも、PMTCという歯科医院でのクリーニングや、フッ素入りの歯みがき剤やキシリトールガムなどを活用して出産前からミュータンス菌の数を減らしておきたいですね。
子どもの歯の健康のために大切なもうひとつの点は、母親自身の栄養管理、健康管理です。
実は赤ちゃんの歯は妊娠6週目くらいからできはじめていて、生まれるころには歯ぐきの下に歯胚という歯の芽が待機しています。妊娠4ヵ月ころは赤ちゃんの歯の石灰化が始まる大切な時期と言われます。
赤ちゃんのあごの骨や歯をつくるのは母親からの栄養ですから、この時期にバランスのいい食事で充分な栄養を摂らなかったり、体調管理をおろそかにすると、生まれてくる子の歯のエナメル質が形成不全をおこすなど、悪い影響を及ぼします。
一般的に日本人はカルシウム摂取量が低め。妊婦の方以外も歯の健康のためには、不足しがちになるカルシウムなどがたっぷり摂れるようバランスを考えながらよく噛んで食事をすることが大切です。
カルシウム摂取を意識すると同時に、カルシウムを歯や骨に吸収させるのに欠かせないビタミンDの存在も忘れないでください。
ビタミンDしらすや鮭、いわしといった魚類に多く含まれています。また、食べ物からだけでなく、日光に当たることで皮下でビタミンDを生成します。
しかし、骨密度を上げて丈夫な歯槽骨を維持するには、カルシウムとビタミンDに加え、適度な運動をして継続的に骨への適度な負担をかけることが不可欠です。
運動をすると骨の中の血流量が増えて、骨をつくる細胞が活性化され、反対に骨の溶解は抑制されます。
つまり目光を浴びながら適度に散歩をするのは、カルシウムの吸収を助ける上で理にかなっています。

フロスを活用して、完璧に汚れを落とす


いくら歯ブラシでていねいにブラッシングしても、歯と歯の間、歯と歯肉の境日にたまった歯垢までは落とせません
歯ブラシだけで落とせるのは80%くらい
歯間や歯肉の境目にたまっている20%の汚れ落としに活用してほしいのがフロスです
「ブラッシング十フロツシング(フロスごが、歯磨きの基本なのです
ブラッシングが終わったら、フロッシングに移ります
ブラッシングの前にフロッシングをするよう勧める歯科医師もいるのですが、フロッシングを先にすると歯間の汚れがたくさん残っている状態なので、掻き出しても掻き出しても食べ残しなどが出てきます
すると、トータルな歯磨き時間が長くかかってしまいますので非効率的です
先にブラッシングをし、ある程度歯間の汚れを落としておくとスムーズです
また、歯磨き剤を先に使いフッ素の泡がたっぷりと国内にある状態でフロスを使ったほうが、歯間にもフッ素を行き渡らせることができます
そうした二つの理由から、ブラッシング↓フロッシングの手順をおすすめします
フロスは細いナイロン繊維をより合わせた束を糸状にしたものです
歯と歯肉の間の汚れを掻き出し、虫歯予防だけでなく、歯肉炎や口臭の予防にも役立ちます
フロスを30~40mくらいの長さで切り、両手の中指に10~15皿くらいの幅で巻き付けます
両手の親指と人差し指で調整し、1~3mの間隔でぴんと張ります
歯と歯の間の側面に沿ってゆっくリフロスを通します
1ミリ程度歯肉下まで入れると、フロスが少し隠れるような格好になります
そこから、フロスを前後させて汚れを掻き出していきます
すべての歯の隣接面を、フロスを少しずつずらしながら、新しい部分を使って掃除していきます
フロスは、慣れないうちは少し難しいかもしれませんが、歯科医院でもフロスの使い方の指導をしています
フロスよりやや幅の大いのがデンタルテープです
一度にフロッシングできる範囲が広くなります
歯と歯のすき間がゆるい人ではデンタルテープが適しています
選べないときは、歯科医や歯科衛生士に相談してみましょう
歯列矯正中の人でワイアが入っている人では歯ブラシ同様、フロスも「ソートンスーパーフロス3inl」という矯正専用アイテムを使ってください
フロスは、歯科用商品の「ジョンソン・エンド・ジョンソンデンタルフロスフッ素配合ミント」などの「フッ素付き」のものがベストです
市販品であれば、ノーヮックスのものよリワックス付きのものが使いやすいでしょう
糸を指に巻き付けて使うタイプが一般的ですが、慣れないうちは柄の付いている糸ようじタイプを使っても構いません

すぐに歯磨きできないときはキシリトールを


食後1時間も待っていたら、昼体みが終わって午後の仕事が始まり歯磨きのタイミングを失ってしまう可能性だってありますね
そんなときおすすめしたいのが、短時間で酸性に傾いた回の中を中和する方法です
食事の最後に水かお茶を飲んで回の中の酸性度を低くします
その後、すかさずキシリトール入りのガムかタブレットを食べて日の中を中和してあげるのです
キシリトールは唾液の分泌も促すので一石二鳥
これなら唾液の中和力をじっと待つよりもすばゃくpHをアルカリ性側に引き戻すことができます
その後に歯磨きを行うことで、知覚過敏の方にも、歯根が露出した方にも食後すぐに安心して歯磨きを行っていただけるのです
オフィスヮーク中心の方なら、比較的自由に歯磨きができるはず
しかし、読売新聞のオンラインサイト発言小町」が2010年に行ったアンケートによれば、昼食後歯を磨く女性は約5‐%と半数しか磨いていませんでした
男性の調査はありませんでしたが、女性より多いということは考えられないので、さらに低いのでしょう
先ほど提案したキシリトールガムは便利ですが、歯磨きの代わりになるわけではぁりません
理想は「ガム十歯磨き」が習慣になるとよいですね

これで完璧! 世界一正しい歯の磨き方とは?

それでは正しい歯磨き法を、健康な歯のための最新知識を踏まえてご紹介します
すすぎはごく少量の水で1回だけフロスは虫歯や歯周病予防の必需品、舌ブラシは口臭予防の必需品
これについては詳述します
すすぎ方にもポイントがあります
歯磨きをした後、歯磨き剤の泡を全部吐き出すように何度もうがいをする人がいますが、すすぎは、10ミリリットル程度のごく少量の水で30秒を1回ぶくぶくしておしまいにします
フッ素を歯の表面に行き渡らせることが大切ですから、すすぎ過ぎるとせっかくの微量フッ素が流れてしまうので気をつけましょう

 

どのくらいキシリトールを食べればよいか


キシリトールは、ミュータンス菌を減らす切り札
摂り続けることで虫歯の原因菌であるミュータンス菌の数を大幅に減らすことができます
ただし、キシリトールには1日の摂取量目安があります
それを実践すると、2年間でミュータンス菌のリスクをレベル3(一局リスク)からレベルゼロにまで減らすことも可能です
推奨量は、「5go5回
5分/1日」です
1回につきlg以上のキシリトールを5分以上、1日につき5回以上噛む」計算です
単純にキシリトールガムを毎日5粒噛めばいいという計算にならないのは、「キシリトール入り」と銘打っていても、キシリトール含有量がまちまちだからです
漫然と食べていては、摂取目安量に届かない可能性があるので、ガムやタブレットー粒あたりにキシリトールがどのくらい入っているかをいちいち自分で計算して、取り入れる必要があります
例えば、12粒あたり合計6・Ogのキシリトールが入っているガムがあるとしますcl粒のキシリトールは0・5gです
すると、1回につき2粒ずつを1日5回計10粒食べればよいということになります

電動歯ブラシの選び方


電動歯ブラシについてもよく質問されます
一口に電動歯ブラシと言っても、プラークを揺すって落としやすくする機械的な「振動タイプ」
ブラウンの「オーラルB」のように「丸いヘッドが振動、回転して落とすタイプ」
フイリップスの「ソニッケアー」、パナソニックの「ドルツ」、ライオンの「デンタ―システマ音波アシストブラシ」ような「音波タイプ」があります
音波ブラシは、唾液という水の中で、音波技術の振動運動が作り出す音波振動によって歯垢を落とす効果が波及
歯垢や歯にこびりついた汚れをはじき飛ばす上に、ブラシの毛先から4ミリ先の歯周病菌の鞭毛まで破壊するテクノロジーをうたっている商品もあります
回転、回転振動、音波振動など色々なタイプがある中で、虫歯や歯周病に特に悩んでいる方、ブラケットとワイアを使った矯正中の方には音波ブラシをオススメしています
歯科衛生士さんに見てもらったときにブラッシングで合格点をもらえるような手先が器用な人なら手磨きでも問題ありませんが、さらに歯磨きを極めたい人、あるいはあまリブラッシングに自信のない人にはこうした電動歯ブラシは役に立ちます
電動歯ブラシの場合、2分間が歯磨きの目安ですので、短時間で済ませたい人にもいいでしょう
ポケットドルツ(パナソニック)のようにハンデイーで外出先でも手軽に使える優秀な電動歯ブラシも発売されているのでおすすめです

目的に合わせて歯磨き剤の第二成分を選ぶ

さて歯磨き剤の選び方の基本ですが、まずはフッ素入りを選ぶことです
その上でそれぞれ気になる症状や希望にあわせ、第二成分を選択していきます
虫歯予防をしたい方には、「キシリトール」入りをオススメします
フッ素(特にフッ化ナトリウム)とキシリトールの組み合わせは再石灰化を促進することがわかっており、最強のコンビといえましょう
お茶やコーヒーが好きな方など、歯の着色が気になる人にはホワイトニングやステイン除去をうたった商品が適しています
サンスターの「Ora2(オ‐ラツーごやライオンの「プラチアス」、花王の「クリアクリーンプラスホヮイトニング」などがあります
いくつか使い比べると自分にあったものがわかると思います
しつこい着色に悩まされている患者さんには、歯科用商品のピロリン酸ナトリウム配合の歯磨き剤をおすすめして喜ばれています
ピロリン酸ナトリムは、歯の表面と有機性着色物質の間にはいりこみ、着色成分を浮かせる働きをします
その状態で歯磨きをすると、着色物質が洗い落とされるというわけです
歯医者さんでクリーニングを受けてから、ピロリン酸ナトリウム入り歯磨き剤で磨くと、lヵ月経過しても歯が自いままで、担当した歯科衛生士もこれにはびっくりしているほどです
ブリリアントモア(ライオン歯科材)などがそれにあたります
歯周病に特化した歯磨き剤
歯周病対策におすすめなのが、殺菌成分や抗炎症成分など歯周病菌をターゲットにした成分入りの歯磨き剤です
ライオンの「デンターシステマ」では、殺菌成分(IPMP)と抗炎症成分(イプシロンーでヽヽノカプロン酸)が、サンスターの「ガムデンタルペースト」では、薬用成分(cPc)と歯周病菌破片の吸着清掃剤(バイオニウム)が配合されています
各社、常に新しい成分の開発に取り組んでいるので、消費者としては、パッケージをよく読んで、自分にあった商品を選びたいものです
知覚過敏用の歯磨き剤
また、知覚過敏の人は、痛みが治まるまで1~2ヵ月間は知覚過敏用のものを使ってみてください
硝酸カリウムが配合されている「シュミテクト」(グラクソ・スミスクライン)などが適しています
硝酸カリウムが歯髄知覚神経を鈍くさせて歯髄神経への伝達を遮断、痛みを鎮静化させます
フッ化ナトリウムも入っているので再石灰化も進みます
ただし、ずっとシュミテクトを使い続けるのではなく、痛みが治まったら自分の歯の状態に合わせたものに戻し、知覚過敏が再発したらまた使うようにします
知覚過敏は、歯の表面部分のエナメル質が何らかの原因で傷つき、象牙質が露出しているために起こります
剥き出しの象牙質の表面には、無数の象牙細管が開回しており、象牙細管の中には神経が通っているため、冷たい(温かい)食べものや風などの刺激がダイレクトに伝わるので、ズキンとしみるのです
知覚過敏の人は、しばしば歯磨きに熱心だったりします
力を入れて磨き過ぎるために、エナメル質が傷つき、歯と歯ぐきの境目にくさび状欠損ができていることがあります
また、歯ぎしりや歯の食いしばり、噛み合わせの悪さなどによるエナメル質の摩耗も原因になります
そのほか、オレンジジュースなど日頃飲食しているものの酸で歯のエナメル質が溶ける酸蝕歯、歯周病によって歯ぐきが下がってきたために起きる知覚過敏もあります
知覚過敏になった原因を特定し、それに合わせた対策を取ることも必要です
歯磨き剤にはたいてい研磨剤が入っているのですが、最近では歯のエナメル質を削り取るほどに粒子が荒く硬い研磨剤は少なくなってきました
日々使うものですから、エナメル質を傷つけない「低研磨性」が理想的です
だからといって、研磨剤が全く入らないジ 襲ェルタイプや液体タイプでは、しつこいプラークを除去する力が不足して、かえって磨き残しをまねきます
私自身が患者さんにおすすめしている低研磨性歯磨き剤の見分け方は、歯磨きの最後のぶくぶくを自分の唾液で行ったとしても、日の中がすっきりしているものを選んで、とお話ししています
ミント味が強すぎたり、研磨剤が粗い歯磨き剤では、自分の唾液だけではとてもすすぎきれず、水の力を借りたくなります
これでは、軽いすすぎで微量フッ素を回の中に残したくても、なんどもすすぎたくなってしまいますね
歯科用商品の「チェックアップ」(ライオン歯科材)は、研磨剤が非常に細かく味もマイルドなので唾液だけのすすぎでもすっきりする点で、虫歯予防効果の高い歯磨き剤として特におすすめしています
歯がツルツルする歯磨き剤次章でお話しする「ティーストリートメント」を受けた患者さんには、家庭でティーストリートメントが行える「アパガード」(サンギ)をおすすめしています
歯の表面のざらざらした感じが気になる場合でも、使ってみるとツルツルした感じが戻ります
この製品にはナノ化した薬用ハイドロキシァパタィトが配合されていて、次章で詳述しますが、物理的に歯のエナメル質を再石灰化してくれるからです
そのため、歯を自くする効果も同時に狙えます
ただ、フッ素が配合されていないため、この製品はフッ素のジエルやフッ素の洗口液を併用して使うほうがいいでしょう
「アパガード」には市販品もありますが、より合有量の高い歯科用商品(オーラルケア)もあります

目的に合わせて歯磨き剤の第二成分を選ぶ


さて歯磨き剤の選び方の基本ですが、まずはフッ素入りを選ぶことです
その上でそれぞれ気になる症状や希望にあわせ、第二成分を選択していきます
虫歯予防をしたい方には、「キシリトール」入りをオススメします
フッ素(特にフッ化ナトリウム)とキシリトールの組み合わせは再石灰化を促進することがわかっており、最強のコンビといえましょう
お茶やコーヒーが好きな方など、歯の着色が気になる人にはホワイトニングやステイン除去をうたった商品が適しています
サンスターの「Ora2(オ‐ラツーごやライオンの「プラチアス」、花王の「クリアクリーンプラスホヮイトニング」などがあります
いくつか使い比べると自分にあったものがわかると思います
しつこい着色に悩まされている患者さんには、歯科用商品のピロリン酸ナトリウム配合の歯磨き剤をおすすめして喜ばれています
ピロリン酸ナトリムは、歯の表面と有機性着色物質の間にはいりこみ、着色成分を浮かせる働きをします
その状態で歯磨きをすると、着色物質が洗い落とされるというわけです
歯医者さんでクリーニングを受けてから、ピロリン酸ナトリウム入り歯磨き剤で磨くと、lヵ月経過しても歯が自いままで、担当した歯科衛生士もこれにはびっくりしているほどです
ブリリアントモア(ライオン歯科材)などがそれにあたります
歯周病に特化した歯磨き剤
歯周病対策におすすめなのが、殺菌成分や抗炎症成分など歯周病菌をターゲットにした成分入りの歯磨き剤です
ライオンの「デンターシステマ」では、殺菌成分(IPMP)と抗炎症成分(イプシロンーでヽヽノカプロン酸)が、サンスターの「ガムデンタルペースト」では、薬用成分(cPc)と歯周病菌破片の吸着清掃剤(バイオニウム)が配合されています
各社、常に新しい成分の開発に取り組んでいるので、消費者としては、パッケージをよく読んで、自分にあった商品を選びたいものです
知覚過敏用の歯磨き剤
また、知覚過敏の人は、痛みが治まるまで1~2ヵ月間は知覚過敏用のものを使ってみてください
硝酸カリウムが配合されている「シュミテクト」(グラクソ・スミスクライン)などが適しています
硝酸カリウムが歯髄知覚神経を鈍くさせて歯髄神経への伝達を遮断、痛みを鎮静化させます
フッ化ナトリウムも入っているので再石灰化も進みます
ただし、ずっとシュミテクトを使い続けるのではなく、痛みが治まったら自分の歯の状態に合わせたものに戻し、知覚過敏が再発したらまた使うようにします
知覚過敏は、歯の表面部分のエナメル質が何らかの原因で傷つき、象牙質が露出しているために起こります
剥き出しの象牙質の表面には、無数の象牙細管が開回しており、象牙細管の中には神経が通っているため、冷たい(温かい)食べものや風などの刺激がダイレクトに伝わるので、ズキンとしみるのです
知覚過敏の人は、しばしば歯磨きに熱心だったりします
力を入れて磨き過ぎるために、エナメル質が傷つき、歯と歯ぐきの境目にくさび状欠損ができていることがあります
また、歯ぎしりや歯の食いしばり、噛み合わせの悪さなどによるエナメル質の摩耗も原因になります
そのほか、オレンジジュースなど日頃飲食しているものの酸で歯のエナメル質が溶ける酸蝕歯、歯周病によって歯ぐきが下がってきたために起きる知覚過敏もあります
知覚過敏になった原因を特定し、それに合わせた対策を取ることも必要です
歯磨き剤にはたいてい研磨剤が入っているのですが、最近では歯のエナメル質を削り取るほどに粒子が荒く硬い研磨剤は少なくなってきました
日々使うものですから、エナメル質を傷つけない「低研磨性」が理想的です
だからといって、研磨剤が全く入らないジ 襲ェルタイプや液体タイプでは、しつこいプラークを除去する力が不足して、かえって磨き残しをまねきます
私自身が患者さんにおすすめしている低研磨性歯磨き剤の見分け方は、歯磨きの最後のぶくぶくを自分の唾液で行ったとしても、日の中がすっきりしているものを選んで、とお話ししています
ミント味が強すぎたり、研磨剤が粗い歯磨き剤では、自分の唾液だけではとてもすすぎきれず、水の力を借りたくなります
これでは、軽いすすぎで微量フッ素を回の中に残したくても、なんどもすすぎたくなってしまいますね
歯科用商品の「チェックアップ」(ライオン歯科材)は、研磨剤が非常に細かく味もマイルドなので唾液だけのすすぎでもすっきりする点で、虫歯予防効果の高い歯磨き剤として特におすすめしています
歯がツルツルする歯磨き剤次章でお話しする「ティーストリートメント」を受けた患者さんには、家庭でティーストリートメントが行える「アパガード」(サンギ)をおすすめしています
歯の表面のざらざらした感じが気になる場合でも、使ってみるとツルツルした感じが戻ります
この製品にはナノ化した薬用ハイドロキシァパタィトが配合されていて、次章で詳述しますが、物理的に歯のエナメル質を再石灰化してくれるからです
そのため、歯を自くする効果も同時に狙えます
ただ、フッ素が配合されていないため、この製品はフッ素のジエルやフッ素の洗口液を併用して使うほうがいいでしょう
「アパガード」には市販品もありますが、より合有量の高い歯科用商品(オーラルケア)もあります

フロスを活用して、完璧に汚れを落とす


いくら歯ブラシでていねいにブラッシングしても、歯と歯の間、歯と歯肉の境日にたまった歯垢までは落とせません
歯ブラシだけで落とせるのは80%くらい
歯間や歯肉の境目にたまっている20%の汚れ落としに活用してほしいのがフロスです
「ブラッシング十フロツシング(フロスごが、歯磨きの基本なのです
ブラッシングが終わったら、フロッシングに移ります
ブラッシングの前にフロッシングをするよう勧める歯科医師もいるのですが、フロッシングを先にすると歯間の汚れがたくさん残っている状態なので、掻き出しても掻き出しても食べ残しなどが出てきます
すると、トータルな歯磨き時間が長くかかってしまいますので非効率的です
先にブラッシングをし、ある程度歯間の汚れを落としておくとスムーズです
また、歯磨き剤を先に使いフッ素の泡がたっぷりと国内にある状態でフロスを使ったほうが、歯間にもフッ素を行き渡らせることができます
そうした二つの理由から、ブラッシング↓フロッシングの手順をおすすめします
フロスは細いナイロン繊維をより合わせた束を糸状にしたものです
歯と歯肉の間の汚れを掻き出し、虫歯予防だけでなく、歯肉炎や口臭の予防にも役立ちます
フロスを30~40mくらいの長さで切り、両手の中指に10~15皿くらいの幅で巻き付けます
両手の親指と人差し指で調整し、1~3mの間隔でぴんと張ります
歯と歯の間の側面に沿ってゆっくリフロスを通します
1ミリ程度歯肉下まで入れると、フロスが少し隠れるような格好になります
そこから、フロスを前後させて汚れを掻き出していきます
すべての歯の隣接面を、フロスを少しずつずらしながら、新しい部分を使って掃除していきます
フロスは、慣れないうちは少し難しいかもしれませんが、歯科医院でもフロスの使い方の指導をしています
フロスよりやや幅の大いのがデンタルテープです
一度にフロッシングできる範囲が広くなります
歯と歯のすき間がゆるい人ではデンタルテープが適しています
選べないときは、歯科医や歯科衛生士に相談してみましょう
歯列矯正中の人でワイアが入っている人では歯ブラシ同様、フロスも「ソートンスーパーフロス3inl」という矯正専用アイテムを使ってください
フロスは、歯科用商品の「ジョンソン・エンド・ジョンソンデンタルフロスフッ素配合ミント」などの「フッ素付き」のものがベストです
市販品であれば、ノーヮックスのものよリワックス付きのものが使いやすいでしょう
糸を指に巻き付けて使うタイプが一般的ですが、慣れないうちは柄の付いている糸ようじタイプを使っても構いません

歯間ブラシの使い方には注意が必要


歯間掃除アイテムには、歯間ブラシもあります
歯問ブラシのほうがフロスより手軽に使えるのですが、そもそも歯間ブラシは、ブリツジなど歯が抜けたあとの被せ物の歯と人工歯の間の掃除や、歯周病が進行して、歯と歯のすき間が非常に大きくあいた場所や必要があって被せ物を連結してフロスが通らない場所などに使うものです
歯も抜けておらず、歯周病もないような人が使う道具ではありませんから、その点を誤解しないでいただきたいと思います
しかも、無理矢理通そうとすれば、本来の歯間より大きいサイズでも入ってしまい、歯と歯ぐきの境日が下がってかえって歯間を広げてしまう危険もあります
歯間ブラシを使えるのは、そのサイズのブラシがすっと通るくらい歯間があいている人や、ブリッジなど連結した被せ物が入っている人、進行した歯周病の方、専門家から使用を勧められた人などです
自己判断で使うのはやめましょう
またいずれの場合も、前歯に使うのは避けましょう
一度下がった歯肉は、ほとんどの場合戻る可能性が少なく、審美的な問題を引き起こす恐れがあるからです
使用は、奥歯にとどめ、前歯ではフロスを使うようにしてください
歯間ブラシはサイズ選びも含め、歯科医師や歯科衛生士の指導のもと、使用するのが望ましいです
市販品で選ぶなら、自然にすっと歯間に入る小さめのものを選びます
現在は、4S(最小SSSS)から3L(最大LLL)までさまざまなサイズがあります

フッ素入リデンタルアイテムで歯を強化


歯磨きの仕上げには、フッ素の入ったジェルや洗口液を使い、歯を強化します
フッ素塗布は歯科クリニックや保健所などでも行う施術ですが、家庭で使うものとして歯科で販売しているジェルタイプの歯磨き剤もあります
研磨剤を含んでいないフッ素ジェルです
歯磨きの後、朝と晩適量を2回歯に塗ると、フッ素イオンが歯にしみこんで虫歯菌に強い歯を作ってくれます
フッ素ジェルにはキシリトールも入っているので、ミュータンス菌を減らすキシリトールの効果も期待できます
しかし中には「効果はわかっていてもジェルをいちいち塗るのは面倒」となかなか習慣として根づかない患者さんもいます
ところが最近になって歯科用になりますが、ライオン歯科材からフッ素入りの洗口液が発売されました
「フッ化ナトリウム洗口液0.1%〈ライオンとというフツ化ナトリウム洗口液です
この製品は従来の粉末を水で溶いて自分でフッ素溶液をつくるのと違い、初めから濃度が450ppm(lppmは0・0001%)のフッ素溶液に調製されていてフツ素ジエルに比べて格段に使い勝手がよいので、いままでジェルを敬遠していた人はぜひ使ってみてください
1日1回、未就学児で5m、小学生以上で7~‐0回ずつ使う洗口液で、就寝前にブクブクとうがいします
あくまでも溶液を歯にゆきわたらせるブクブクうがいとし、のどを洗うガラガラうがいをしないように充分注意してください
液が回全体に広がって歯の隙間にも入り込むよう、30秒間、液を目の中のあちこちにまわしながらブクブクしますo子どもの場合は、誤って飲み込まないよう下向き加減で行います
洗口後は水ですすがないこと
洗回後30分間は飲食やうがいは避けてください
この製品のフッ素の含有量は450ppm
歯磨き粉には薬事法ぎりぎりのフッ素950ppmまで配合されているものもあるとはいえ、洗口液としては充分高濃度です
この洗口液のメリットは、使い方が簡単であることに加え、使用回数が1日1回と少なくて済む点です
1週間に5回使えれば効果があるといわれています.平日の月~金まで使い、上日はお体みできる計算になりますので、ジェルが朝晩2回だったのに比べるとぐんと手軽ですcジェルが3ヵ月に1本程度しか消費しないのに対し、洗口液は、小学生以上ではlヵ月に1本程度使い終わってしまいます
1本当たりの値段も洗口液のほうが高いので、虫歯リスクの高い人や歯列矯正中でリスクが高い時期に限定して使用する方法もおすすめしています
その他、洗口液で注意してほしいのは誤飲です
子どもは誤飲してしまうと嘔吐や腹痛、下痢などフッ素の急性中毒が起きやすいので、歯科医師の指導のもと、大人の監督下で使用してください
フッ素の急性中毒量は、体重1聰あたり2Щ(ミリグラム)とされています
万が一、子どもがうがい中に誤って飲み込んでしまった場合は、牛乳やヨーグルト、カルシウム剤などをすぐに飲み込ませてください
すると体内でフッ化カルシウムになって便として排泄されてしまいます
少量でしたらそれほど心配はありませんが、フッ素は大量に飲み込むと危険です
目を離した隙に子どもが1本飲んでしまったなどということがないよう、扱いには充分注意してください

電動歯ブラシの選び方

電動歯ブラシについてもよく質問されます
一口に電動歯ブラシと言っても、プラークを揺すって落としやすくする機械的な「振動タイプ」
ブラウンの「オーラルB」のように「丸いヘッドが振動、回転して落とすタイプ」
フイリップスの「ソニッケアー」、パナソニックの「ドルツ」、ライオンの「デンタ―システマ音波アシストブラシ」ような「音波タイプ」があります
音波ブラシは、唾液という水の中で、音波技術の振動運動が作り出す音波振動によって歯垢を落とす効果が波及
歯垢や歯にこびりついた汚れをはじき飛ばす上に、ブラシの毛先から4ミリ先の歯周病菌の鞭毛まで破壊するテクノロジーをうたっている商品もあります
回転、回転振動、音波振動など色々なタイプがある中で、虫歯や歯周病に特に悩んでいる方、ブラケットとワイアを使った矯正中の方には音波ブラシをオススメしています
歯科衛生士さんに見てもらったときにブラッシングで合格点をもらえるような手先が器用な人なら手磨きでも問題ありませんが、さらに歯磨きを極めたい人、あるいはあまリブラッシングに自信のない人にはこうした電動歯ブラシは役に立ちます
電動歯ブラシの場合、2分間が歯磨きの目安ですので、短時間で済ませたい人にもいいでしょう
ポケットドルツ(パナソニック)のようにハンデイーで外出先でも手軽に使える優秀な電動歯ブラシも発売されているのでおすすめです

日本に欲しい高濃度のフッ素入り歯磨き剤


いっぽうフッ素ですが、世界には、フッ素が添加された水道水を利用できたり、フッ素入りの塩やミルクなどが市販されている国があります
また多くの国で、フッ素錠剤というフッ素入りの錠剤が認可されており、小児科医や小児歯科医が虫歯のリスクの高い子どもに処方したりしています
このように世界では、様々な形でフッ素が利用されていますが、日本で消費者が手にすることができるフッ素商品は、歯磨き剤と歯科専売のフッ素洗口剤だけ
他国以上に、フッ素入り歯磨き剤を利用することが重要なことがおわかりいただけると思います
日本の薬事法では歯磨き剤のフッ素濃度は1000ppm以下と定められています
しかしながらこの濃度は、北欧やアメリカ、ョーロッパなどでは小学生向けの濃度
大人向けには、1500ppmが一般的です
さらにフランスでは2500ppm、スウェーデンアメリカではなんとフッ素が5000ppmも含有された歯磨き剤が薬局で売られており、旅行者の私でもパスポートも提示せず、身分も聞かれず簡単に購入することができて驚きました
これは寝たきりの高齢者や放射線治療やシェーグレン症候群などで、極度 籾のドライマウスに悩む患者さんなど、虫歯リスクの高い人のために作られた特別な医療用歯磨き剤です
日本でも、がんの治療などで放射線療法を受けておられる患者さんが虫歯に悩む姿は、涙なしにはケアできないほど次々と虫歯が出来てしまい、5000ppmの高濃度フッ素歯磨き剤が使えたらどれほど多くの人が助かることだろう、と思わずにはいられません
また虫歯大国の日本の大人が、他国では小学生向けの1000ppmの歯磨き剤を使っていることは、北欧やヨーロッパ、アメリカなどを訪れるたびに残念でならず、いつの日か1500ppmのフッ素人り歯磨き剤を日本でも購入できる日がくれば、と願わずにいられません

あごの不調は体幹の筋力不足も一因

 

姿勢と噛み合わせも関係が深く、どういう姿勢で食事をしているかで噛みやすい歯は決まってしまいます
すると、特定の歯に力がかかった状態で噛むようになり、原因不明の歯の不調を引き起こすのです
あるていど筋力をつけ姿勢のくせを直すだけで、噛み合わせのバランスがよくなり、症状が消えることも少なくありません
また、あごの不調は体を支える体幹の筋肉のバランスが悪くても起きやすくなります
体幹の筋肉には、脊柱起立筋などのアウターマッスルと、多裂筋などのインナーマッスルがあり、両者はバランスをとり合って体をまっすぐに支える働きをします
習慣的に行っている運動の中に、ぜひ体幹を鍛えるトレーニングも入れてください
四つんばいになり、手足をあげるエクササイズは、アウターマッスルとインナーマッスルを同時に鍛えます
いずれにしても、血行をよくする、姿勢を正すだけで痛みはかなり軽減されます
私の知人には、万歩計をつけて歩くようになったら、症状がすっかり治ってしまった人もいます
痛みを自覚したら
しばらくは噛みごたえのある食べ物は避け、歩く習慣をつけてください
最低1日7000歩以上
さらに、「歯を守る健康体操」を実践
すると、lヵ月ほどで治ります
こうした生活習慣は予防的な効果もあります
ふだんから取り入れてもいいでしょう

[歯やあごの不調を招く原因チェックリスト]
□休みの日は長く寝ているのが好き
□食べることが好きで満腹になるまで食べないと気が済まない
ロスルメやフランスパンなど歯ごたえのある食べ物が好き
ロスイーツに目がない
□女性の場合、いつもヒールの高い靴を履いている
□普段から歩くのが嫌い
□首をボキボキ鳴らすクセがある
□高い枕で寝ている
□電車やバスで座ると居眠りをする
□よく長電話をする
□座っているとき、足を組んでいることが多い
□立っているとすぐに何かに寄りかかつたり、座りたくなったりする
□歩くとき、ついだらだら歩いてしまう
□寝転がって読書したり、テレビを見ていることが多い
ロストレスを感じると歯を噛みしめてしまう
□体重の変動が大きい
□鼻ではなく口で呼吸しがち
腹式呼吸ではなく、胸で浅い呼吸をしている

当てはまる項目が一つでもあると、有害で、多いほどリスクが増大します。チェックがついた項日は改善するよう心がけましょう。