目的に合わせて歯磨き剤の第二成分を選ぶ


さて歯磨き剤の選び方の基本ですが、まずはフッ素入りを選ぶことです
その上でそれぞれ気になる症状や希望にあわせ、第二成分を選択していきます
虫歯予防をしたい方には、「キシリトール」入りをオススメします
フッ素(特にフッ化ナトリウム)とキシリトールの組み合わせは再石灰化を促進することがわかっており、最強のコンビといえましょう
お茶やコーヒーが好きな方など、歯の着色が気になる人にはホワイトニングやステイン除去をうたった商品が適しています
サンスターの「Ora2(オ‐ラツーごやライオンの「プラチアス」、花王の「クリアクリーンプラスホヮイトニング」などがあります
いくつか使い比べると自分にあったものがわかると思います
しつこい着色に悩まされている患者さんには、歯科用商品のピロリン酸ナトリウム配合の歯磨き剤をおすすめして喜ばれています
ピロリン酸ナトリムは、歯の表面と有機性着色物質の間にはいりこみ、着色成分を浮かせる働きをします
その状態で歯磨きをすると、着色物質が洗い落とされるというわけです
歯医者さんでクリーニングを受けてから、ピロリン酸ナトリウム入り歯磨き剤で磨くと、lヵ月経過しても歯が自いままで、担当した歯科衛生士もこれにはびっくりしているほどです
ブリリアントモア(ライオン歯科材)などがそれにあたります
歯周病に特化した歯磨き剤
歯周病対策におすすめなのが、殺菌成分や抗炎症成分など歯周病菌をターゲットにした成分入りの歯磨き剤です
ライオンの「デンターシステマ」では、殺菌成分(IPMP)と抗炎症成分(イプシロンーでヽヽノカプロン酸)が、サンスターの「ガムデンタルペースト」では、薬用成分(cPc)と歯周病菌破片の吸着清掃剤(バイオニウム)が配合されています
各社、常に新しい成分の開発に取り組んでいるので、消費者としては、パッケージをよく読んで、自分にあった商品を選びたいものです
知覚過敏用の歯磨き剤
また、知覚過敏の人は、痛みが治まるまで1~2ヵ月間は知覚過敏用のものを使ってみてください
硝酸カリウムが配合されている「シュミテクト」(グラクソ・スミスクライン)などが適しています
硝酸カリウムが歯髄知覚神経を鈍くさせて歯髄神経への伝達を遮断、痛みを鎮静化させます
フッ化ナトリウムも入っているので再石灰化も進みます
ただし、ずっとシュミテクトを使い続けるのではなく、痛みが治まったら自分の歯の状態に合わせたものに戻し、知覚過敏が再発したらまた使うようにします
知覚過敏は、歯の表面部分のエナメル質が何らかの原因で傷つき、象牙質が露出しているために起こります
剥き出しの象牙質の表面には、無数の象牙細管が開回しており、象牙細管の中には神経が通っているため、冷たい(温かい)食べものや風などの刺激がダイレクトに伝わるので、ズキンとしみるのです
知覚過敏の人は、しばしば歯磨きに熱心だったりします
力を入れて磨き過ぎるために、エナメル質が傷つき、歯と歯ぐきの境目にくさび状欠損ができていることがあります
また、歯ぎしりや歯の食いしばり、噛み合わせの悪さなどによるエナメル質の摩耗も原因になります
そのほか、オレンジジュースなど日頃飲食しているものの酸で歯のエナメル質が溶ける酸蝕歯、歯周病によって歯ぐきが下がってきたために起きる知覚過敏もあります
知覚過敏になった原因を特定し、それに合わせた対策を取ることも必要です
歯磨き剤にはたいてい研磨剤が入っているのですが、最近では歯のエナメル質を削り取るほどに粒子が荒く硬い研磨剤は少なくなってきました
日々使うものですから、エナメル質を傷つけない「低研磨性」が理想的です
だからといって、研磨剤が全く入らないジ 襲ェルタイプや液体タイプでは、しつこいプラークを除去する力が不足して、かえって磨き残しをまねきます
私自身が患者さんにおすすめしている低研磨性歯磨き剤の見分け方は、歯磨きの最後のぶくぶくを自分の唾液で行ったとしても、日の中がすっきりしているものを選んで、とお話ししています
ミント味が強すぎたり、研磨剤が粗い歯磨き剤では、自分の唾液だけではとてもすすぎきれず、水の力を借りたくなります
これでは、軽いすすぎで微量フッ素を回の中に残したくても、なんどもすすぎたくなってしまいますね
歯科用商品の「チェックアップ」(ライオン歯科材)は、研磨剤が非常に細かく味もマイルドなので唾液だけのすすぎでもすっきりする点で、虫歯予防効果の高い歯磨き剤として特におすすめしています
歯がツルツルする歯磨き剤次章でお話しする「ティーストリートメント」を受けた患者さんには、家庭でティーストリートメントが行える「アパガード」(サンギ)をおすすめしています
歯の表面のざらざらした感じが気になる場合でも、使ってみるとツルツルした感じが戻ります
この製品にはナノ化した薬用ハイドロキシァパタィトが配合されていて、次章で詳述しますが、物理的に歯のエナメル質を再石灰化してくれるからです
そのため、歯を自くする効果も同時に狙えます
ただ、フッ素が配合されていないため、この製品はフッ素のジエルやフッ素の洗口液を併用して使うほうがいいでしょう
「アパガード」には市販品もありますが、より合有量の高い歯科用商品(オーラルケア)もあります