受け口は遺伝する

ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、ヨーロッパの名門ハプスブルク家は、受け回の家系として知られています
上あごの骨より、下あごの骨の発育が過剰、あるいは過成長すると受け口になってしまいます
肖像画を見ると確かに、カール5世やフェリペ4世などは、この特徴が際立っています
受け口を専門用語では下顎前突や反対咬合といいますが、骨格性の受け回の多くはこうした遺伝によって起こります
ほかに骨格異常がもたらす成長期の骨の発達が原因となる場合もあり注意が必要です
骨格異常による受け回は、次のように形成されます
手足や身長を伸ばす長骨(長管骨)という骨があるのですが、代表的なのは上腕骨や大腿骨です
この長細く伸びた骨の幹の部分を「骨幹」、両端のややふくらんだ部分を「骨端」と呼び、骨幹と骨端の間の軟骨が伸びて、成長するのです
この長骨と下あごを成長させる骨は同じ種類の発育をたどります
長骨は骨の両側の細胞が増殖し、伸びていきます
あごの場合は、Uの字型のままサイズが大きくなっていくわけで、身長が伸びる成長期に進行します
背が10m伸びると下あごが6皿伸びると言われていて、女子に比べ背が高くなる男子のほうが深刻になりやすいのが特徴です
というのも、女子の身長は15~‐6歳で伸び止まることが多いので矯正治療も、その時期で終了にできます
ところが男子の場合は、22歳くらいまで身長が伸びるので、中学生くらいで、いちどきれいに改善しても、大学生くらいでさらに下あごが発達してしまう可能性があります
こうなると下あごの骨を削る外科治療が必要になることもあるからです