歯の冷え性を治そう


冷え性は指先や足先だけの話ではありません
冷えがつらい人は、歯もいわゆる冷え性になっている可能性があります
歯そのものが冷えている、というわけではありませんが、歯の周囲の毛細血管の血流が悪くなっているのです
心臓は全身に血液を送るポンプの役割をしていますが、末端に行くほど血液は届きにくくなります
毛細血管だらけの回の粘膜や歯肉に届く血液量は、いわば血液鉄道の最果てのローカル線
心臓が東京駅だとしたら、歯の根の先端は網走駅あたりのイメージでしょうか
この末端の毛細血管の血流を微小循環といいます
第2章で喫煙と歯周病との関係を述べましたが、喫煙によって毛細血管が収縮すれば、それは血という酸素や栄養のわずかな補給路さえ断たれたことになります
歯に不調がでるのも道理なのです
末梢に血液が行き渡っていないと、抜歯しても傷が治りにくい、神経を取ってもなかなか痛みが引かないといったケースがよく見られます
歯科治療の最終段階では、やれるだけの治療をしたらあとは自然治癒を待つだけということもあって、そのときに毛細血管がめぐっている歯根膜が低酸素状態では、なかなか回復しません
ところが動脈血が歯の微小循環にまでしっかり届けられていると、ドクターに「これはもうダメだね」と言われた歯も治療ができるまでに回復することもあります
それほどに、歯にとって動脈血は重要なのです
血液は動脈から静脈へ流れ込みますが、動脈と静脈は直接つながっているわけではなく、平行して走る幹線道路のような関係です
その二つのパイプの橋渡しをしているのが細動脈であり、さらに細い毛細血管です
この毛細血管の流れ、すなわち微小循環は、動脈血を静脈に渡すいわば網の目のような一般道
微小循環がなぜ大切かと言えば、酸素や栄養を個々の細胞に実際に供給しているのが、末梢にまで伸びているこの血管だからです