若さを保ち代謝を活発にする唾液のパワー

よく噛むことは、内分泌系のアンチエイジングにもなります
唾液はよく噛んで食べると分泌量は10倍になるといわれます
唾液のほとんどは水分ですが、微量に含まれているさまざまなホルモンや酵素が重要な役割を果たします
日本では1930年代から、唾液ホルモンの研究が始められていました
東京大学病理学の緒方知二郎教授のグループが、耳下腺から分泌される「パロチン」という唾液由来のホルモンを発見したのです
一方、アメリカでもこれと同時期か少し後に、唾液に含まれる成長因子に着目した研究が始まっていましたcネズミから唾液腺を取ると、歯や毛のつやなどに悪い影響が出ます
身体を覆う皮膚の表層を「上皮細胞」と言いますが、歯や髪の毛もこの上皮細胞が変化したものです
胃や腸の粘膜や血管も同系の細胞
スタンレー・コーエン教授は、唾液腺の中に全身の皮膚や骨、血管、粘膜などあらゆる細胞の新陳代謝を促す「上皮成長因子」があることをつきとめました
さらに、コーェン教授の共同研究者リタ
レヴイ
モンタルチーニ教授は、唾液腺の中の「神経成長因子」の発見者
神経成長因子は神経細胞の成長やシナプスの機能九進など、脳細胞の成長を促します
この研究により、ふたりには1986年にノーベル生理学
医学賞が贈られています
実はその上皮成長因子と神経細胞因子など多数の生理活性物質(ビタミンやアミノ酸が作り出すホルモンなど微量で体の働きを調節する物質)を合む混合物が、「パロチン」という唾液ホルモンだったのです
また、唾液に含まれるペルオキシダーゼには、発がん物質によってできる活性酸素を減弱させる働きがあることがわかっています
噛むだけでアンチエイジングなんて虫のいい話に聞こえるかもしれませんが、噛む動作が全身のさまざまな機能活性を促すと説明してきましたc若さを保ち代謝を活発にする、人体に有益な成分がたくさん含まれている唾液のパワーを使わない手はありません
ちなみに、コンビニで売っている食品を10gずつ食べるのに何回噛むかを調べると、プリンで8回、パンで100回、おせんべいで160回、そしてガムは550回以上という結果になりました
噛みごたえのある食べ物を意識して食べるのも大切ですが、たとえ柔らかいものでも「よく噛んで食べる」ことで唾液分泌を増やすことができます
栄養素を効率よく摂るならサプリメントでもいいような気がしますが、唾液のメリットを考えれば、噛まないサプリメントを食事代わりにするのはおすすめできません