歯周病は歯肉や骨を破壊する病気


「歯を失う最大の原因である歯周病は、歯肉や歯槽骨、歯根膜などの歯を支える組織が冒される病気です」と日本歯科大学歯周病学教室の沼部幸博教授はいいます
歯と歯肉の境目には、0・5~2皿程度の隙間が誰にでもあります
これを歯周ポケットといいます
この歯周ポケット内にプラークや歯石がたまって、その中に棲む歯周病菌から放出される毒素によって炎症が起き、歯肉が赤く腫れている状態が歯肉炎です
この段階では歯周ポケットの深さも2~3皿程度で、歯磨きをすると少し出血するかもしれませんが、歯を支えている歯槽骨は失われていません
磨き残しがないように歯磨きを徹底したり、専門家による歯のクリーニングであるPMTCを受けるなどのケアで比較的早期に健康な歯肉に戻すことができます
ところが、歯周病の前段階である歯肉炎を放置しておくと、歯周病菌は歯周ポケット内の接合上皮という歯と歯ぐきの接着部分を破壊して、さらに奥へと入り込んでいきます
歯根膜や歯を支えている歯槽骨まで溶かしながら進行し、炎症を悪化させますcそぅなると歯肉が下がってきて歯が長くなり、歯がぐらぐらしてきます
やがて歯槽骨の支えを失った歯がついには抜け落ちてしまうこともぁります
歯周病菌は嫌気性菌(酸素が存在しない環境を好む菌)なので、狭くて深く酸素が少ない歯周ポヶットは恰好の棲み家
深さ3mm以上に達した歯周ポヶットの奥で、歯周病菌は歯肉からにじみ出た血液や唾液成分から栄養を取り込み、「歯肉縁下プラーク」ゃ「歯肉縁下歯石」をつくります
歯周病を進行させる真犯人は、これら歯肉縁下に棲む歯周病菌から出る毒素です
歯周病の代表的なものが「慢性歯周炎」です
35歳以上の成人に多いですが、子どもや若い世代でもかかることがぁります
歯は、歯槽骨の四つの壁によって、噛み合わせの面が支えられている五面の立体です
一般的な歯周病は「三壁性影郊託」といつて、壁のどこかの一面でも4皿以上の歯周ポヶットがあればそう診断されます
三壁性とは、残っている健康な壁の数をさしています
日本人のほとんどの歯周病はこの三壁性骨欠損です
初期には痛みなどの自覚症状もなく、発生もゆっくりです
しかし一旦発症すればゆるゆると進行します
まれではありますが「侵襲っば歯周炎(急速破壊性歯周炎とと呼ばれる歯周病もあります
プラークの他に自血球の低下など別の因子があって、通常の歯周病より急速に進行します
以前は若年性歯周炎と呼ばれていたように、10歳から30歳程度の若い世代に多く見られます
歯周病患者のうち、「侵襲性歯周炎」のような重歯周病患者さんたちは1割程度と多くはありませんが、三壁性ではなく全部の面が一気に下がっていくのが特徴です
この病気にかかる患者さんの年齢は概して若いため、本人やご家族には深刻な影響を及ぼします
大学病院の歯周病科などで、専門医の診断を受けられることをおすすめします