キシリトールが効く理由

話昼戻ってなぜ、母親がキシリトールを摂取すると、子どものミュータンス菌の感染率が下がるのでしょうか。
これは、妊娠中から生後9ヵ月になるまでに母親が摂ったキシリトールの効果で、母親の口の中のミュータンス菌が「不溶性グルカン」を産生しなくなり、プラークが歯からはがれやすくなったためと推察されます。不溶性グルカンは、ミュータンス菌が糖をエサにしてつくる不溶性のネバネバ物質のことです。
その結果、子どもの日の中にミュータンス菌が感染しても定着しにくいという現象を導いたといえます。大人の場合も同様で、キシリトールにより不溶性のネバネバ物質をサラサラなタイプに変えるので、口の中にミュータンス菌が定着しにくくなります。
ミュータンス菌は産道感染や空気感染はしませんので、生まれてきた子どもに早期にうつさないためには、母親の国内環境が重要です。この時期に育児に関わっているのは、世界的にみても母親が多いため、父親や祖父母より、やはり母親の影響が大なのです。
生まれてくる赤ちゃんの歯の健康のためにも、PMTCという歯科医院でのクリーニングや、フッ素入りの歯みがき剤やキシリトールガムなどを活用して出産前からミュータンス菌の数を減らしておきたいですね。
子どもの歯の健康のために大切なもうひとつの点は、母親自身の栄養管理、健康管理です。
実は赤ちゃんの歯は妊娠6週目くらいからできはじめていて、生まれるころには歯ぐきの下に歯胚という歯の芽が待機しています。妊娠4ヵ月ころは赤ちゃんの歯の石灰化が始まる大切な時期と言われます。
赤ちゃんのあごの骨や歯をつくるのは母親からの栄養ですから、この時期にバランスのいい食事で充分な栄養を摂らなかったり、体調管理をおろそかにすると、生まれてくる子の歯のエナメル質が形成不全をおこすなど、悪い影響を及ぼします。
一般的に日本人はカルシウム摂取量が低め。妊婦の方以外も歯の健康のためには、不足しがちになるカルシウムなどがたっぷり摂れるようバランスを考えながらよく噛んで食事をすることが大切です。
カルシウム摂取を意識すると同時に、カルシウムを歯や骨に吸収させるのに欠かせないビタミンDの存在も忘れないでください。
ビタミンDしらすや鮭、いわしといった魚類に多く含まれています。また、食べ物からだけでなく、日光に当たることで皮下でビタミンDを生成します。
しかし、骨密度を上げて丈夫な歯槽骨を維持するには、カルシウムとビタミンDに加え、適度な運動をして継続的に骨への適度な負担をかけることが不可欠です。
運動をすると骨の中の血流量が増えて、骨をつくる細胞が活性化され、反対に骨の溶解は抑制されます。
つまり目光を浴びながら適度に散歩をするのは、カルシウムの吸収を助ける上で理にかなっています。